日本酒の作り方をわかりやすく解説!種類ごとや期間などについて
仕事の帰りや休日には、日本酒を1杯だけプハーッと飲んで気分転換したいですよね。
そんな日本酒好きなあなたは、もしかすると日本酒の作り方や工程が気になっていませんか?
今回は、どんな工程を経て日本酒が製造されているのか解説していきます。
この記事は、
- 日本酒について熱く語りたい方
- 日本酒の作り方を教わって家庭で作ってみたいと考えている方
- 日本酒の作り方に関わる期間や工程を知りたい方
におすすめです。
最後まで読む事で、工場での日本酒の製造の期間や工程を知ることができます。
知っておくことで、今よりさらに日本酒を好きになっていき、日本酒の作り方やお酒の知識に詳しいと会社の上司や同僚に感心を持たれたり、実際に家庭で自家製日本酒を作りたいと考えていくようになるでしょう。
日本酒の作り方12工程を紹介!
日本酒は米、米麹と水で造られたお酒です。
これらの原料からアルコール発酵をさせて日本酒が出来上がります。
麹に含まれている酵素のおかげで、米に含まれる糖分を分解していきます。
この酵素によって、原料を発酵させる方法でアルコールを製造できます。
原料を発行させて製造する日本酒は世界規模で比較的しても世界的に珍しい醸造と言われています。
精米
精米とは、玄米から糠(ぬか)を取り除く工程です。
玄米から糠を取り除く量の違いで、主に以下に種類が分けられます。
- 3分精米
- 5分精米
- 7分精米
- 白米
日本酒に使用される精米は、基本的に糠を全て取り除いた白米です。
精米には精米機を使用することが必要です。
摩擦式の精米機を利用した場合、玄米の米袋を精米機の白米タンクに設置して、足元のペダルを踏んでいくことで精米にされています。
その精米機内部では、玄米を風圧で運ばせており、風圧による米と米の接触で精米しています。
糠はそのまま風によって飛ばされていき精米は白米タンクに運ばれていきます。
洗米・浸漬
洗米・浸漬は、精米した米の糠を完全に取ってていく工程です。
糠が微量に残っている事があるため水で洗い流していきます。
糠はアミノ酸を豊富に含んでいているため、雑味の原因になりやすいです。
そのため、しっかり落とす必要があります。大体2分間かけて洗米した後に浸漬作業に入っていきます。
浸漬させる時間は、水の温度や米の水分量、米の種類で変わります。
米に吸水させる量は浸漬時間で決まるため、時間を決めて浸漬します。
浸漬させる水の温度は10~15°と言われているので、浸漬中も温度調整が必要です。
蒸米
浸漬した白米を蒸して蒸米を作る工程です。
通常、白米は弾力性なく硬いです。 これは、白米が溶けにくく消化しにくいβデンプンと呼ばれるデンプンを持っているからです。
水と熱を加えて白米を蒸すことで、白米のβデンプンがαデンプンへ変化します。
蒸すと白米そのものが糊状となるため、αデンプンに変化します。
αデンプンは、熱の刺激で水に溶けやすく麹菌と絡まりやすいデンプンです。
蒸した白米は、一般的に外側は弾力あって、内側は柔らかいです。
さらに日本酒作りに適しています。蒸米の時間は約15~20分です。 蒸米後は高温です。
硬い白米から糊状へと変えるちょうどいい時間です。連続蒸米機を使用すると、30分間かかります。
高温のままでは麹づくりの工程が行えないため、蒸米を広げて床もみの作業をしていきます。
床もみで35~38°までの温度へ冷やしていきます。
麹づくり
蒸米に麹菌を繁殖させていく工程です。
麹づくりは製麹と呼ばれ、日本酒を作る工程で最も重要な工程です。
麹の質は、お酒の質そのものです。 そのため、高品質な麹を製造することが求められます。
麹づくりの期間は、3日間かかります。 1日目は、床もみによって低温となった蒸米に麹菌を撒いてかき混ぜます。
その後、木桶の中に蒸米を入れ、布等で蓋をして一晩寝かせます。
10~12時間寝かすことで麹菌を増やすことができます。
長時間寝かせた後には、米同士のくっつきを防ぐために切り替えしを行います。
2日目は、朝から切り替えしを一度行います。
その後、盛り込み作業で蒸し米を室蓋と言われる木箱に入れます。
室蓋に入れたら、蒸し米をよく混ぜ込んで小さな塊を崩していきます。
最後に仕舞仕事です。仕舞仕事は、蒸し米の温度が上昇しすぎないようにタオル等で冷却して温度管理をします。
3日目は、出麹です。出来上がった麹を容器から取り出して完成です。
自宅での麹づくりも、一緒です。
- 水を切って温度が下がった蒸米に麹菌を撒いてかき混ぜる。
- 布に包んで保温する
- 切り替えし
- お米を木箱(室蓋)に移す
- 混ぜ込んで中仕事
- 仕舞仕事
- 出麹
酒母づくり
お酒の元(原料)になるため、重要な工程の一つです。
酒母は、アルコール発酵を促す役割を持っています。
そのため、大量に酒母を繁殖させることで日本酒を製造できます。
工程は、蒸米・米麹・水を仕込んで混ぜる。そして、乳酸菌が繁殖したタイミングで酵母を加えます。
酵母を加えることで、酵母から発生するアルコールで乳酸菌が死滅していきます。
その後2週間から1ヶ月寝かすことで、酒母が完成します。
酒母を手作業で造っていく製法もあります。
仕込み
酒母に麹・蒸米・水を加えてもろみを作る工程です。
出来上がった酒母をタンクに入れて、麹・蒸米・水を加えます。
加える際は、一気に全量を入れるのではなく3回に分けていれていきます。
3回に分ける理由は、全量を入れると酵母菌の繁殖スピードが追いつかないためです。
そのため、3回に分けて約3週間から1ヶ月かけてゆっくりと発酵させていく必要があります。
この工程を経て、もろみが完成します。もろみは日本酒の原料そのものです。
搾り
搾りは仕込み作業で完成したもろみに圧をかけて濾す工程です。
搾って、日本酒と酒粕に分けます。方法は、袋に入れて重力で搾る方法とろ過圧搾機を使用し搾る方法があります。
最近の製酒は、ろ過圧搾機を使用することが多いです。
工場の機械を使用して絞る場合、約1ヶ月間の間搾っていきます。
自宅で行う時は、袋に詰めて重力で搾るのがおすすめです。
搾るタイミングによって、日本酒の味を良くも悪くも大きく左右させます。
この絞るタイミングは、各天候やお酒の持っている各成分を元に決めていきます。
濾過
濾過は、搾り作業で分けきず残った小さな固形を取り除く作業です。
この小さな固形物を濾過することで、クリアな日本酒に仕上がります。
方法は、炭素濾過で濾過する方法と素濾過で濾過する方法があります。
濾過を行うことで日本酒は無色透明になります。味もしつこくなく程よい味で飲みやすい口溶けになります。
また、酵母や酵素を取り除くと日本酒の品質を維持しやすくなります。
火入れ
日本酒に火入れを行わなければ、見た目が混濁したり酸味が強くなります。
火入れは、日本酒を60~65°の低温加熱を行い殺菌していくための工程です。
火入れを行う事で、日本酒の味や飲みやすさを維持することができます。
火入れの温度が高すぎると、アルコール成分が飛んでいくため温度を一定に保つことが必要です。
作りたての日本酒は、酵母が残っていることが多いため発酵がしやすいです。
火入れは、酵母の活性化や雑菌増加の防止に約立っています。
火入れのタイミングは、通常2回あります。濾過した直後と貯蔵して熟成された日本酒を瓶詰めする直前に行います。
貯蔵
火入れしたお酒を貯蔵タンクで半年から一年間の期間で貯蔵します。
貯蔵で熟成させると、温度や酸素などの影響で味がまろやかにまとまります。
さらに喉越しがトゲがあるものではなく、すっきりとした味わいに変化していきます。
貯蔵期間によって、種類の違う日本酒が出来上がります。
10年や15年の長い年月を経て熟成された日本酒は長期熟成酒や古酒と呼ばれます。
貯蔵期間中の温度管理も重要です。火入れ後のお酒は冷却させて15~20度の室温で品質を維持していきます。
調合
瓶詰め作業を行う前に、調合→割り水→2度目の火入れを行います。
調合は、タンクに貯蔵された日本酒の色・味・香りを調整していく工程です。
タンクごとに日本酒の味や香りが違うため、調合(ブレンド)の作業が必要です。
各タンクの日本酒を混ぜ合わせ、それぞれのタンクの日本酒の質を一定にする製造調合を行います。
製造調合によって、酒に含まれている不要な成分を排除します。
割り水は、調合を終えた日本酒に仕込み水を入れて、アルコール度数を調整していく工程です。
2度目の火入れは、出荷前の最終段階の工程です。60度から65度の低温加熱で殺菌します。
瓶詰め
調合された日本酒は、最後の工程である瓶詰め作業を行います。
瓶詰めを行う時は、調合した日本酒を65°まで加熱して、加熱された状態のまま瓶詰めしていきます。
瓶内で火落ちしてしまうと大変だからです。 瓶詰め後は、人の力を使って目で確認しながら1本1本の検査を行います。
瓶内のお酒の量や異物混入や瓶に傷がないかを、最終段階でチェックしていきます。
この作業が終了すると、瓶に詰められた日本酒の品質維持のために冷却していきます。
日本酒の種類によって作り方が少し変わる
日本酒と言っても種類がたくさんあります。
日本酒製造の工程が全て同じではないため、日本酒の種類が多すぎてそれぞれの作り方の違いが分からない方は、 ぜひ読み続けてみてください。
これから説明する生酒や新酒についてできるだけ詳しく解説していきます。
甘口か辛口かで作り方が少し変わる
基本的に甘口の日本酒は飲みやすいです。
辛口の日本酒は、きゅうりや唐揚げなどのおつまみを食べながら飲めます。
日本酒の甘口と辛口の味は、糖とアルコールの量で変化します。 基本的にアルコールは、辛口と認識されやすいです。
それは、アルコールそのものが刺激物質だからです。 アルコール度数の強いお酒を飲むと、喉が焼けるような感覚になると思います。
喉の焼けるような感覚こそアルコールによるものです。
甘口の日本酒を製造するには酵母の活動を弱め、発酵を抑えると甘口の日本酒が完成します。
「火入れ」をしない生酒
火入れをしない生酒は、すっきりとした味で飲みやすい日本酒です。
普段日本酒を飲まない人には、とても飲みやすいです。
生酒は、一度も火入れをしていないため殺菌処理をしていない日本酒です。
濾過後や出荷前も火入れしないため、酵母が生きています。
ただし温度の管理ができなければ、生酒の質が落ちてしまいます。
そのため、生酒は販売店での保管も精密に温度管理しつつ、保管に気をつけなければならない日本酒です。
自宅で開栓した1週間後には、味が変化します。味に変化した場合、自宅で飲む時は早めに飲み切った方がよいです。
「貯蔵」せずに出荷する新酒
新酒は、火入れを行った後、貯蔵や熟成をしないまま瓶詰めされた日本酒です。
新酒は、しぼりたてと呼ばれます。 また、一番最初にしぼって瓶詰めした日本酒は初しぼりと呼びます。
しぼりたてのまま瓶詰めされると、味に少しトゲのある日本酒が完成します。
飲みやすくしたい場合は、冷蔵庫で保存しておくとサラッとした飲みやすくなります。
しぼりたてと言われる程、新鮮さのある味となっています。
新酒は、フレッシュな新鮮さを持ち合わせているため、 天ぷらや刺し身のお供と一緒に飲むと一層美味しさを感じることができます。
まとめ
この記事では、日本酒に関する作り方・製造・工程について解説しました。
日本酒の一連の工程は、
- 精米
- 洗米・浸漬
- 蒸米
- 麹づくり
- 酒母づくり
- 仕込み
- 絞り
- 濾過・火入れ
- 火入れ
- 貯蔵
- 調合
- 瓶詰め
に作業を経て、日本酒は製造されています。
また、日本酒には種類があり新酒や生酒によって作り方が少し違います。
作り方に変化を加えることで、甘口や辛口といった味の違った日本酒が製造することができます。
自宅で日本酒を作る場合、アルコールが1%以上含まれたお酒を作ってしまうと酒税法の違反になってしまうので気をつけてくださいね。
最後まで読みつづけたあなたは、きっと日本酒を更に好きになっていると思います。
ぜひ日本酒をこれからも飲み続けてほしいと思っています。 最後まで読んで頂けたあなたの日本酒ライフに乾杯です。